安倍三代読了。
安倍寛、晋太郎、晋三、安倍家三代のルポ。
地元の人たちから慕われ、反戦平和主義者だった寛。
病魔と闘いながら郷土の為、立憲主義の為、反骨を貫いた。
もし、彼が、戦後も政治家として仕事をしていたら……。
そんな父を誇りに思い、新聞記者出身ということもありリベラルでバランスの取れた政治家だった晋太郎。
両親を早くに亡くしたこともあり寂しさや人生の悲しみを知っていた。
そんな境遇もあり、地元の人たちから愛されたのだし、マイノリティである在日の人々とも関係を築くことができた。
亡き母の忘れ形見、自分に弟がいたというエピソードは泣ける。
で、安倍晋三。
平凡な人である。
長期政権の記録を打ち立てそうであるが、将来伝記作家は苦労しそうだ。
学生時代は、勉強も普通。スポーツも普通。
クラスを引っ張っていくタイプでもない。
中学高校時代は、地理研究部所属ではっきり言って、陰キャ。
サラリーマン時代の上司の評価は
「人づきあいの勘が良くて、要領が良くて真面目で、敵を作らない。だからみんなに好かれていましたよ。そう、まるで子犬みたいだったなあ」
政治や社会に興味があったわけでもなさげ。
ただ、岸信介の孫で、安倍家の三代目というだけなのである。
普通の人が、政治家になるには、世襲でなければだめなのだ。
親が政治家だから政治家になり、おぼっちゃまで人がいいから、自分の周りにいる人たちの喜ぶことを行う。
それが運命だとでもいうように。
運命だから仕方ない。運命だから抵抗するのは無意味。コネもまた運命。
つまりそういうことなんだろう、安倍内閣の政策というのは。
(森友・加計問題も)
で、その政策を支持する人たちも自称普通の人たちなのではないか?
政治家にならなかったら映画監督になりたかったというエピソード。
しかし、映画好きだというエピソードが学生時代の知人から出てこないのが不思議。
オタクっぽい逸話が、ひとつでもあれば、評価できるんだけど。
趣味の人、マニアではないんだろうなあ。
ミーハーなんだろうなあ。
そのミーハーさが、フットワークの軽さを生んでるのかもしれないが。